工場の省人化を望む現場の声から「容器供給器」の開発が始動。

マシン小谷は、1977年に機械の部品などを扱う商社として創業。1980年に技術部を開設し、部品の製造・加工も手掛けることで、お客様のニーズにきめ細かな対応ができる体制を整えました。しかし、機械製造メーカーに商材を卸す商社は世の中に多数存在。競合他社との差別化を図るため、マシン小谷にしかできないことを模索して新しい分野への挑戦が始まりました。そして着手したのが製麺機の開発・製造。そんななか、コンビニの麺商品をつくる工場へ営業に行った際、工場長から相談されたのが「容器供給機」の案件でした。

社内の設計・製造技術者、協力会社の知恵と技術のすべてを集結。

コンビニ商品はライフサイクルが短く、短期間で容器のサイズや形が次々と変わります。そのため既存の機械では、容器が変わる度に部品を交換する必要がありました。部品の交換や機械の調整に時間と手間がかかるうえトラブルも絶えず、全国ほとんどの工場で麺を容器に入れる工程を手作業で行っているとのこと。「長時間の手作業は重労働で、人手を確保するのも大変だからどうにかしたい」というが、工場長からのお願いでした。そこで、問題を解決するため「どんな容器にも自動で対応できる供給機」の開発が始まりました。

一番苦労したのは、積み重なっている容器をひとつずつ剥がす工程。30〜50個単位でまとまっている容器は、真っ直ぐ等間隔に積み重なっているわけではありません。バラバラの角度に傾いていて、容器と容器の隙間もまちまち。四角形、八角形、正円形、楕円形と形も様々なら、ツバの幅もいろいろ。そのすべてにひとつの機械で対応するにはどうすればいいのか? 設計、製造の技術者や外部の業者にも協力してもらい、みんなで頭を悩ませながら試行錯誤を繰り返しました。

100分の1mm単位で、数え切れない部品を造り、試作を重ねる。

容器供給機の開発の突破口となったのは、ツメを使った構造。形やサイズが異なる容器を剥がすため、前後左右4方向からツメを入れるアイデアを社長の小谷氏が考案しました。
「前後と左右のツメを出すタイミングをずらせば、どんな形の容器でも同じ場所に垂直に固定することができるはず」という考えをもとに開発がスタート。「ツメだけでも、いろんな長さと幅のものを数え切れないくらい造っては試しました」と、製造部の古賀氏。部品ひとつ決めるにも、100分の1mm単位でいくつも試作して社内で調整していきました。
特に苦労したのは、樹脂を使ったパーツ。樹脂は温度の変化で収縮するため、製造場所と実際に使う工場に温度差があるとサイズが変わってしまいます。「図面上では問題ないのに、実際に造って組み立てるとサイズが合わないということも。試作を繰り返して公差を決めるのに苦労しました」と、山中工場長は言う。
吸着して容器を剥がすためのロボシリンダーは、外注して新しく開発したものです。元々はエアシリンダーを使う予定でしたが、空気の力は不安定なため電気を用いたロボシリンダーに変更。どんな容器も中心点がブレることなく固定できるようになり、1個ずつ自動で吸着して剥がせるようになりました。

試作機の動きを見ながら、無駄をそぎ落としたシンプルな構造へ。

次に取り組んだのは、剥がした容器に麺を入れる麺受け機構。ここでは、茹でたての麺が1m以上の高さから容器めがけて落ちてきます。茹でたての麺は弾力があって、勢いよく落下してくると容器に着地したとき弾んではみ出てしまうのが難点。この問題を解決するため、まずは容器にステンレスの筒を差し入れて麺を落とす仕組みを考えました。しかし作業スピードを上げると麺が筒に引っ付いて容器に上手く落下しない。「それならば、ダンパーを用いたらどうだろう」とアイデアを出した小谷氏。設計担当の稲垣氏が早速図面を描き直し、容器の上で一度麺を受け止めてから、そっと容器に落とし入れる機構を完成させました。
「開発案件の場合、イチから設計するので必要な機能をあれもこれも取り付け、ごちゃごちゃしたものになってしまう。でも理想は余計な部品や装置をそぎ落としたシンプルな構造。試作機を作って動かしながら、必要のない部分をそぎ落としていきます」と、稲垣氏。
図面が書けても実際にものづくりをすると、図面通りにはならない場合もあります。だから、設計担当の稲垣氏と製造担当の古賀氏が相談しながら、図面を完成させていきます。時には、まず古賀氏が試作して上手くいくことを確認してから図面を直すことも。開発案件はひたすらトライ&エラーの繰り返しです。
試作機を何台も作って動作テストを行い、ようやく容器供給機の初号機が完成したのは、開発開始から2年近く後のことでした。

工場の省人化を叶える容器供給機は、改良を重ね、よりよく進化。

今振り返ると、初号機は至らないことばかり。それでもお客様はとても喜んでくださり、全国の工場から注文をいただくようになりました。初号機は完璧にはほど遠く、改良点がたくさん見つかったため、よりよいものへとバージョンアップを続けています。
最初は既製品を改良して使っていたロボシリンダーも、容器供給機に合わせて新しく開発してもらうことでパワーとスピードが飛躍的に向上。容器を流すコンベアのベルトも協力会社とともに新開発し、今ではベルトだけを販売して欲しいという依頼もくるようになりました。

作業を自動化する機械で、人手が足りない工場の省人化に貢献。

食品工場はどこも人手不足に悩んでいて、全国の工場で「省人化」が求められています。容器供給機も「省人化」を実現するための機械。これからも、工場の省人化に貢献できる機械を開発していきたいと考えています。
「余所にあるものは造らない」というのが、マシン小谷のモットー。
現在既に、新しい省人化の機械の開発が進行中です。お客様の悩みを解決するため、まだ世の中にない機械を生み出すことが私たちの新しいミッション。社員みんなで挑戦を続けながら、社会に役立つ企業へと発展することを目指します。